属性にまつわるエトセトラ


 ラプソディアが発売されてからというもの、シグルドに触れられるたび体中から力が抜ける。
 そしてたちの悪いことに、シグルドもそれを知っていて、あえてこちらを触りにかかる。今だってそうだ。この男のむだに長いうでが体の両側から巻きついてきて、片手はハーヴェイの髪をさわり、もう片手は腰にそえられている。シグルドとハーヴェイはこれ以上ないくらい密着している。
 これでは力が抜けるどころか、具合が悪くて気絶しそうだ。
「もう……なんで……こんなことに……」
「得意属性と苦手属性という考えは、とってもすばらしい発想だな。そう思わないか、ハーヴェイ?」
「てめえ……、面白がってるだろう……」
 ヒットポイントがこの男のせいでどんどん減る。ああ、シグルドの顔面に思い切り雷の陣の玉をぶつけてやりたい。
「……あー……もうだめだ……」
 目の前がだんだん暗くなっていった。まぶたが重くなる。ついにヒットポイントがゼロになる、というところで、シグルドはとつぜん腕をはなした。なすすべなく体がどさりとベッドに落ちる。あまりの疲労に体中を投げ出し、せわしなく胸を上下させていると、シグルドは水の紋章を使ってその疲労を取り去ってくれた。呪文を詠唱するシグルドの声はしずかでやさしかった。
「もうお前にさわることもままならないんだな」
 シグルドは真顔でそういった。
「……つい今までさんざん触ってたくせに」
「苦しかったろう。ごめんな」
 なんだその言葉は。不覚にも悲しい気持ちになってしまった。
「そんなこと言うなよ。調子狂うぜ」
 ベッドに寝そべりながら、シグルドの背中を乱暴に叩く。少しだけヒットポイントを消費した。なんだよそれ。
「俺も火属性だったらよかったな。そうしたら、きっと、抱き合ったとき具合がいいんだろう」
 シグルドがそういう言葉を真顔でいうから、まったく困ってしまう。
 頼むから、具合がいいとか言って水属性のやつと抱き合うんじゃねえぞ。ハーヴェイは心の中でそうつぶやいた。


END

ラプソディアをやっていて、ちょっと思ったこと。人間自体に属性はないと思いますけど、もしあったとしたらこの二人はかわいそう……というお話でした。
2005/10/30 保田ゆきの








SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送