ウッドロウは苦手だ。きらいなやつならごまんといるが、ここまで苦手なのはウッドロウくらいだ。
 それを知ってか知らずか、ウッドロウは、よく話をした。
「あそこに咲いている花はね。雪が降るくらい寒い地域でしか、花をつけないんだよ」
「……」
「暑さには弱いが、とても丈夫な花だ」
「……そうか」
 やっとのことで相槌を打つ。ウッドロウはそうだよ、と笑った。
「リオン君、無理をしてはいけない」
 とつぜん話が飛びすぎて、ついていけなかった。
「きみはきみができる範囲を大幅にオーバーしてまで、なにかをやり遂げようとするだろう?」
「なんの話だ……」
「でも、無理なものは無理だし、やりかたを変えればあっさりできるかもしれない」
「だから、なんの……!」
 いらっとしながら突っかかると、ウッドロウはやはり笑って、
「花の話さ」
と、言うだけだった。
 ただ絶句していると、
「ああ、なんだか洒落っぽい言葉だね、はなのはなし」
とさらに追い討ちをかけてきた。
 ぼくは、
「下らん……」
と言いながら、なにがなんだか分からなくなり、ほんの少しだけ、笑ってしまったのだった。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送