2.町へ

 町に行く途中には、草原が広がっていた。
 モンスター退治の仕事でもできそうな草原である。草の高さは腰ぐらいあった。それが見渡す限り続いているというのは、なんとも壮観である。
 一行は辺りに警戒しながら、着々とその草原を通り過ぎようとしていた。
 少し前を歩いていたトリスタンさんが、ぴたりと足を止めてこちらを見た。
「…先生、きのう言おうと思ったんですけど……」
 私が追いつくと、その横にならんで一緒に歩幅をあわせながら、そんなことを言い出した。
「なんでしょうね」
「先生が町を散策するとき、その、……ご一緒してもいいでしょうか……ゴホッ」
 なんだそんなことか、と心の中でつぶやく。なぜならトリスタンさんがついてくることは、何となく分かっていたからだった。根拠も何もないが、何となく、確信していた。
「ええ、いいですよ。もちろんね」
 そう言うと、トリスタンさんはあのひっそりした静かな笑みを浮かべ「ありがとうございます」と丁寧に礼を言った。
 草の茂みが不穏に動いたのは、まさにそのときであった。

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